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「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

「杉の花粉」の独断と偏見に満ちた愛読書紹介コーナー

26 のすたるじー?

どん底・・・のすたるじー?

 昨日の夕食は「豆ごはん」
 ネットで購入した「レンジで炊ける炊飯器」を使う。
 陶器製の「炊飯器」で「1合の米」を磨ぎ、
 冷凍米国産「グリーンピース」を放り込む。
 ・・・ド・ド・ド・ド・ドッ・・・アッ!
 「規定水量」を出している。
 ・・・
 すこおし多目「水」にした。

 電子レンジで18分
 さらに待つこと18分
 ドンブリに入れ替え「いただきまっす!」

 ・・・硬い

 「硬い」んじゃなくって・・・
 ・・・「生」に近い

 久しぶりに、
 ジックリ時間を掛けて喰った「歯応え」のある夕食だった。
 ・・・
 CATVを観る

 ATG(日本アート・シアター・ギルド)なんて配給会社があった。
 映画産業の最盛期、興業権を独占した「東映」や「東宝」なんて大手配給会社は、「低脳な大衆受けする映画」しか製作しなかった
 そこから弾き出された監督救済システムATG創設である。
 だから・・・
 ATG配給の映画なんて、「素人然とした作品」「全く意味不明の作品」ゴマンと有る。

 今から30年も昔、が未だ中学生だった頃
 TVのゴールデンタイムは、大衆受けする「ハリウッド映画」人気のあった「日本映画」しか流さない。
 それが・・・
 決まって夏休みの深夜枠、午前1時前後から放映してたのがATG作品
 サッパリ意味が判らない!
 ・・・貧乏臭いし
 なんて思いながらも何処か惹かれる処があった
 ・・・チョッとHだし

 クドイ程書いている「新宿泥棒日記」なんて正しくATG配給である。
 ・・・あんな映画なんて「家族揃って」誰が観るってんだ!

 そうして・・・
 昨日CATVで見た「任侠外伝 玄界灘」(1976年ATG配給)
 唐十郎監督作品で、小松方正、安藤昇、宍戸錠と一緒に李礼仙、根津甚八、小林 薫など紅テント「状況劇場」のメンバーなんかが出演している。

 朝鮮戦争末期、釜山(プサン)の寒村
 粗末な一軒家へ、米軍に従事した日本人二人組がやってくる。
 戦死した兵士の「兵士タグ」家族に届ける仕事なのだが、
 ・・・一人は強姦、一人は死姦してしまう。
 しかし、殺された親父(小松方正)死姦された娘(李礼仙)は蘇生し、「鬼子(日本人が産ませた子の蔑称)」を産んで自殺する。
 20年後、その親父(小松方正)「鬼子」(李礼仙:二役)が、大韓民国からの密入国船に乗って日本国玄界灘に不法入国する
 その「手引き」をしたのが、先の日本人二人組
 二人ソレゾレ極道になっていた・・・

 「勧善懲悪(かんぜんちょうあく)」と云うか、
 「そして誰も居なくなった」と云うか。
 ・・・主役級に「当時は未だ現役だったらしい」安藤昇がいるし、
 ・・・日本で初めて「R指定」された映画らしいし、
 ・・・玄界灘に向かって「実弾を撃った」ってもあるし。
 まあ。ATG有り勝ちな「訳の判らないお話」ではある。

 「R指定」たって「ハダカ」は全く「猥褻な言葉」すら出てこない。
 でも・・・
 「映倫」じゃなくったって「R指定」にするだろう!
 ・・・と思う

 冒頭は・・・
 死体から「小腸」引っ張り出してる

 警察署昔の「便器の無い小便用トイレ」
 脈々小便が流れてる「溝」寝っ転び
 色付いた小便塗(まみ)れ
 警官取っ組み合いを始める根津甚八

 最後は・・・
 ヘドロに満ちた河口に浮かぶ李礼仙死体を、
 ズブズブ腰まで浸かりながら抱き上げる
 そして・・・
 李礼仙の顔ヘドロ塗れの手擦(なす)り付け
 ヘドロ顔を突っ込んでは泣き喚く根津甚八

 食事中なら・・・「箸」が止まる

 こんなモン作って如何しようてんだ?
 これを評価する奴が見てみたい。
 ・・・まあ。「歯応え」充分な作品ではあるが。

 でも・・・
 強烈な「臭い」を放った昔の便所
 じゃ公衆便所綺麗になった
 悪臭漂うヘドロの海さえ、
 じゃ砂浜変わっているのだろう

 今の日本何処に行っても「臭い」がしない
 ふと、そう気が付いた

 「人いきれ」充満して息苦しささえ感じた人混み
 便所生ゴミ悪臭漂う街並み
 田舎「肥溜め」なんて今でも在るのだろうか。

 都市から田舎から「臭い」がしなくなった
 「体臭」しか気にしない人ばかりになって、
 からも「臭い」が消えた

 「昔の記憶」なんて
 何処か「におい」に繋がっているはずなのに

 便所ヘドロ「悪臭」人の「血」生臭さ
 遠い昔、確かに嗅(か)いだことのある「臭い」なのだ。
 だから・・・
 「映像」なのに、酷い「悪臭」を感じてしまう
 
 そして・・・
 好きだった人、好きだった場所、下宿時代の町並み、キレイな清流と緑に覆われた故郷
 どれも、爽やかな「匂い」包まれている
 その「匂い」誘われて鮮やかに記憶が蘇る

 あの人と。
 初めて会ったとき何を話した?
 そのとき何着てた?

 あの時は。
 土手に寝っ転がって入道雲をボーっと見てた?
 お好み焼きの匂いお腹が鳴った?
 想い出「体臭」は甘く草叢(くさむら)雑踏の「臭い」すら懐かしい

 今だけ生きている訳じゃない
 過去からズッと生きているんだ。

 「無味無臭な世界」は、そんな・・・
 「当たり前のこと」すら見失わせてしまう

 「病的な清潔さ」全ての「におい」を消していく
 それは・・・
 「想い出(ノスタルジー)」消す仕業なんじゃないのか?


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